

甘柑荘について



継がれる数寄屋のこころ
小田原市板橋にある『三淵邸・甘柑荘』は、初代最高裁判所長官・三淵忠彦(1880~1950)が、昭和初期に別荘として建て、晩年を過ごした数寄屋風の邸宅です。
設計は、日本の伝統建築に洋風のモダンな趣を取り入れた建築家・佐藤秀三。木造ならではの温かみと、簡素で洗練された近代数寄屋の意匠が特徴です。
南に広がる芝庭は四季折々の花木や紅葉に彩られ、東の庭には蜜柑・夏蜜柑・檸檬・金柑・梅が植えられています。今も実り豊かなその姿から、この邸宅は「甘柑荘(かんかんそう)」と名付けられました。
現在は、忠彦の子孫らが協力し保全に取り組み、公開やイベントを通じて歴史と文化を伝えています。2024年春のNHK連続テレビ小説『虎に翼』のヒロインのモデル三淵嘉子ゆかりの地としても注目を集めています。
板橋地区の歴史的風致を構成する優れた意匠と歴史的価値が認められ、2024(令和6)年に小田原市「歴史的風致形成建造物」に指定されました。
公式サイト(建築家 佐藤秀三の世界) >>
公式サイト(NHK連続テレビ小説『虎に翼』) >>
公式サイト(小田原市 小田原市歴史的風致維持向上計画について) >>
_edited_edited.png)


初代最高裁判所長官
三淵忠彦
【1880 - 1950】
新憲法によって初めて誕生した最高裁判所
正義と平等の府として、国民の信頼・衆望得るため尽力
_edited_edited.png)
明治13(1880)年、戊辰戦争の責任を取り切腹した会津藩家老・萱野長修(通称権兵衛)の実弟三淵隆衡と登喜の子として生まれる。山形・荘内中(県立鶴岡南高)、旧制二高(東北大)を経て、東京帝国大学法科大学(東京大)を中退し、京都帝国大学法科大学(京都大)に進学。
地方裁判所判事、大審院判事を歴任、慶應義塾大学法学部で教壇にたち、45歳で退官。三井信託株式会社の法律顧問を務める傍ら、「法律民衆化の講演会」を開くなど、市民の視点に立つ進歩的な活動を行い、60歳で隠居。
昭和22(1947)年、新憲法制定による最高裁判所新設に伴い、片山哲連立内閣の指名を受け、67歳にして初代長官に任命される。
公邸ができるまでの数カ月は小田原から最高裁に電車で通い、国民の権利を守る裁判所の基礎を固め、司法の新制度確立に尽力した。
昭和25年、没。栄典は正三位・勲二等瑞宝章。


_edited_edited_edited.png)
日本初の女性弁護士
三淵嘉子
【1914 - 1984】
日本初の女性弁護士、
後に女性として初めて裁判所長に
生涯をかけて真の男女平等のあり方を示す
大正3(1914)年、武藤貞雄とノブの長女としてシンガポール市で誕生。
東京女子高等師範学校附属高等女学校(お茶の水高女)、明治大学専門部女子部を経て明治大学法学部に入学。昭和13(1938)年、高等試験司法科試験に合格し同窓の中田正子、久米愛と共に日本初の女性弁護士となる。
終戦をはさむ3年間で弟、夫、両親の4人を失い、幼い一人息子と弟3人を養うため、昭和22(1947)年、裁判官採用願いを司法省に提出。司法省民事部に採用され民法の改正作業に参加。昭和24年、東京地方裁判所判事補、昭和27年、名古屋地裁で初の女性判事に。昭和31年、裁判官の三淵乾太郎(忠彦の長男)と再婚する。
昭和37年、東京家庭裁判所判事に就任。以降16年間にわたり五千人を超える非行少年少女と審判で向き合う。昭和47年、新潟家裁で初の女性裁判所長に。のちに浦和、横浜の各家裁所長を務め、昭和54年に定年退官。その後は、男女雇用機会均等法の礎を築く。
昭和59年没。栄典は正三位・勲二等瑞宝章。

_edited_edited.png)
嘉子と甘柑荘
家族が集まり賑やかに過ごした「甘柑荘」
嘉子と乾太郎夫婦は、東京と甲府、浦和と新潟、と
互いに単身赴任で転々とし、別居生活が長かった。
乾太郎の義母、静が住む「甘柑荘」が集合場所となり、
ここでの時間が夫婦の絆を深め、家族や孫たちとにぎやかに楽しく過ごす。
嘉子は引退したら乾太郎とのんびり暮らす予定で、
畑だった東の庭に梅、みかん、夏みかんなどの果樹を植えた。
生前の希望で、嘉子の墓は、「甘柑荘」裏の霊寿院と
丸亀の本行寺にある前夫 和田芳夫の墓に分骨。
霊寿院には三淵忠彦の墓の隣の「三淵氏の墓」に乾太郎と共に眠っている。




アクセス
三淵邸・甘柑荘
〒250-0034
神奈川県小田原市板橋 822
・JR小田急線 :小田原駅東口から徒歩約 22 分(1.8Km)
【電車】箱根登山鉄道「箱根板橋駅」下車徒歩6分
【バス】小田原駅東口から
・箱根登山バスH・T・TP線
・伊豆箱根バスZ・J・U・P線乗車
「箱根板橋駅」停留所下車徒歩6分
・小田原宿観光回遊バス・うめまる号
(年末年始を除く土・日曜日、祝日運行)
「箱根板橋駅」停留所下車徒歩6分











































